いそのさわ、うきは市、日本酒

事業活用計画中(賃貸)いそのさわ主屋

うきは市で唯一の造り酒屋である ( 株 ) いそのさわ。
工場の敷地内には、創業当時からの味を守る麹部屋や、大衆酒や純米酒を造る大きな木造の仕込み蔵、その反対側には、新しい酒造りの象徴である吟醸蔵とそれぞれの蔵で仕込まれたお酒を貯蔵するタンクや瓶詰め工場などが建ち、仕込みの時期には日本酒の香りが一面に漂う。
現役の酒蔵としての活気にあふれる、その一隅に、築 120 年は経つであろう主屋が、その風格とともに鎮座している。
 正面の国道側から、主屋に入ると、古い台帳が山積みしてある土間。「昔はここに家族で住んで、ここでお酒を売っていたんです。」主屋の内部を案内してもらった現当主が言う。重厚な造りの受付と売台には、地元の方々がお酒を買うため列をなしていたのだろう、少しすり減った上がり框が往時の賑わいを彷彿とさせる。
その框を上がり、売台の脇にある厨房や居間を抜けて主屋の奥に進むと、今度は 40 畳はあろうかという大広間に出る。
「ここは地元の寄り合いの場所。地元のお祭りや行事、新酒のお披露目や祝い事の日は、ここに皆さんが集まり、浮羽の美味しい料理を囲んでお酒を堪能してもらってました。」
部屋を飾る網付きの引き戸や欄間の美しい意匠、庭を望むレトロな和ガラス建具なとどともに置いてある「磯の澤」の名前が入った火鉢、煙草盆つきの長火鉢など、あらゆる調度品が、明治大正の時期の酒造りの面影を色濃く残している。
 一階と二階を合わせると、部屋数は 10 を超える。
傷みが激しく、修復が必要な箇所も見受けられるがその広さと格式に酒蔵の歴史と往年の大家族の暮らしぶりが伺える。
ただ、その広さ故に、隅々まで管理が及ばず、雨漏りなどに悩まされた時期もあったが、一昨年、地元の方々や学生たちの協力のもと、ワークショップ方式を活用しての大規模修理が実施されたことで、屋根が吹き替えられ、主屋は新築当時の輝きを取り戻しつつある。

 2022 年の夏には、この主屋、近隣にある廃校の姫治小学校、新川田篭伝統的建造物群保存地区の茅葺き
の住居を使って大規模な事業が計画されている。
古家空家調査連絡会が中心となり、宿泊事業者に株式会社 VILLAGE INC、飲食業者として ( 株 ) いそのさわを中心とした浮羽地区の地元の方々などが集い、うきは駅から新川田篭地区を結ぶ導線一帯での泊食事業が展開される予定である。
うきはの美味しい食材と湧水の里うきはの水で醸した日本酒を味わいながら、農業体験やキャンプ、ワーケーションを満喫する、そんなうきはの魅力が満載のこの試み。実現するのが楽しみである。

株式会社 VILLAGE INC
https://villageinc.jp/

株式会社いそのさわ
https://isonosawa.com/